05:「民事再生」ってなに?どんな手続なの?

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こんにちは。
事業再生支援グループメンバーの弁護士の後藤謙治です。
 このページでは、「民事再生」がどんな手続なのかを説明します。民事再生の特徴や民事再生の開始から終了までの大まかな流れ、必要な費用などについて、ご説明します。

1 民事再生とは?手続の特徴は? ~民事再生なら会社を残すことができます!~

 民事再生とは、一言で説明するとすれば、「①裁判所の関与の下、②債務者が債務の一部免除(権利変更)と免除後の債務を一定期間で弁済することを内容とする再生計画案を作成し、③これについて債権者の多数決による同意と裁判所の認可を得た上で、④その再生計画に基づいて弁済を実行しつつ、事業の再建を図る手続」ということになります。

民事再生の特徴は、

  1. 民事再生法の規定に沿って行う法的倒産手続のひとつであること
  2. 債務者自身が債権カットと分割弁済案(再生計画案)を作成すること
  3. 債務者が作成した再生計画案を「債権者の多数決による同意」と「裁判所の認可」で承認すること
  4. 承認を得た再生計画に基づいて、債務を弁済していき、事業の再建を目指すこと

の4点です。

 民事再生は、手続を利用する会社及びその経営者が、そのまま自力で再建を目指すパターンと、スポンサーからの支援を受けながら再建を目指すパターンの2つの方法が一般的です。
 多くの方にとって、倒産手続というと、最初に思い浮かべるのは、破産かもしれません。破産の場合、会社は消滅してしまいますが、民事再生の場合は、債権カットや分割弁済を駆使することで、自力で再建していくことを目指す手続ですから、会社を残すことができます!
民事再生は、会社(法人)はもちろん、個人の債務者も申し立てることができますが、私たち事業再生支援グループは、会社の再生支援に力を入れています。

2 民事再生はどのように進むのか? ~申立て準備から手続終了までの流れ~

(1)  全体の流れ

民事再生の進み方は、以下のとおりです。おおまかに分けて、5つのステージに分かれます。

  1. 申立て準備・申立て
  2. 開始決定
  3. 財産評定・債権調査
  4. 再生計画案の作成・決議
  5. 再生計画の実行・手続の終結

この①から⑤のステージを経て、会社は再生していきます。

以下では、各ステージについて、一般的な手続の流れを順番に説明します。

(2)  申立て準備・申立て

民事再生を申し立てるためには、以下のような準備が必要となります。

申立日やスケジュールの決定

 申立て準備のための打ち合わせや資料準備,書類の作成や関係者への説明準備など、申立段階では様々な準備を行います。それぞれの準備が滞りなく行えるよう、各準備の作業時間も含めて、スケジュールを決め、申立の予定日を決定します。

チーム編成と役割分担の決定

 事業部門ごとや支店ごとなど、複数の弁護士で手分けして対応する場合などには、あらかじめチーム編成をして、各チームごとに申立て準備を進めていきます。

各種書類の作成

 資金繰表や試算表、債権者一覧表、非常貸借対照表・財産目録といった書類は税理士や会社の経理担当者を中心に、申立書や添付書類などは弁護士を中心に作成します。

裁判所への事前相談・監督委員との調整

 実際に民事再生を申し立てる前に、裁判所への事前相談を申込みます。会社の概要や予定のスケジュール、再生の方針などを事前に説明しておくことで、スムーズに手続を進めることができます。
 また、裁判所の補助機関として、債務者の一定の行為への同意や報告・意見を述べる監督委員についても、事前の調整・協議を行い、連携していきます。

(3)  開始決定

 民事再生を申し立て、債務者主催の債権者説明会が行われた後、監督委員からの意見書の提出を受けた裁判所は、再生手続開始の申立棄却事由などがない場合には、再生手続開始を決定します。

債権者説明会

 債権者説明会は、債務者が業務及び財産に関する状況や再生手続の進行について説明し、債権者に民事再生への理解と協力を求める機会です。
 債権者説明会の目的は、次の3つです。

  1. 債権者に対して、民事再生に至った事情、今後の取引条件や見通しを統一的に説明すること
  2. 債権者からの抗議や質問に対し、説明をして疑問を解消すること
  3. 民事再生を進めるうえでの混乱を避け、手続に協力してもらうよう要請すること

債権者説明会は、債務者が主催するため、開場の手配や配布資料の準備なども、債務者において行います。

開始決定の効果

民事再生の開始が決定されると、債務者は、再生債務者と呼ばれ、債権者に対しては公正かつ誠実に業務を遂行していくことになります。会社の財産の管理処分権は、そのまま再生債務者に帰属し続けることになりますが、一定の重要な行為は、監督委員の同意や裁判所の許可が必要になります。
 また、再生債権者の個別の権利行使は禁止され、再生債務者による弁済も禁止されます。
 なお、開始決定の後に生じた債権は、共益債権として、随時弁済してよいこととされています。

(4)  財産評定・債権調査

財産評定

 再生債務者は、民事再生が始まった後、遅滞なく、手続開始時に会社が保有する一切の財産の価額を評定します。これを財産評定といいます。
 民事再生には、清算価値保障原則(債権者に対して、破産した場合の配当よりも多くの弁済をしなければならないという原則)がありますから、この清算価値保障原則を満たしているかどうかを確認するための資料として、財産評定書を作成することが必要になります。

債権調査

 民事再生に参加する債権者の債権の内容や金額が正しいかを確認するため、債権調査という手続があります。
 民事再生に参加する債権が確定するまでには、大まかに

  1. 再生債権者による債権の届出
  2. 再生債務者による債権の認否
  3. 債権の調査
  4. 再生債権の確定

4つのステップがあります。

(5)  再生計画案の作成・決議

再生計画とは

再生計画とは、会社がその事業を継続・再生するために必要となる事項を定め、その後の再生手続の規範となるものです。
 再生計画には、債権カットや分割弁済の計画内容などを、つまり、どの債権者に、いくらを、何年間で弁済するのか、を記載します。ここに定めた弁済内容を実現していきながら、会社を再生していくものですから、とても重要な計画になります。

別除権協定

 民事再生においては、再生債務者の財産に対して抵当権や質権などの担保を有する者は、別除(べつじょ)権者と呼ばれます。
 別除権は、再生手続によらないで行使することができることとされているため、事業の継続に必要な財産が別除権の対象となっている場合、別除権を実行されてしまうと、民事再生を行うことが困難になってしまいます。
 そこで、民事再生を進めていくためには、別除権者と交渉し、一定額を支払って、担保権を解除してもらう合意をする必要があります。
 この、一定額の支払を条件に担保権を解除してもらう合意のことを、「別除権協定」といいます。
 別除権協定を結べるかどうかは、再生計画通りに会社を再生できるかどうかに大きな影響を与えるものですので、再生計画案を完成させるまでの間に、合意できるように交渉します。

再生計画の可決・認可

再生計画の案は、債権者集会において、債権カットや分割弁済を受ける再生債権者が多数決によって決議します。再生計画案が可決されれば、不認可事由がない限り、裁判所は再生計画を認可することとされていますから、債権者集会において再生計画案が可決されるかどうかは、極めて重要です。
再生計画が可決されるためには、

  1. 頭数要件   :議決権を行使した債権者の過半数の同意
  2. 議決権額要件 :議決権の総額の2分の1以上の同意

という2つの要件を満たす必要があります。
 ここでの決議は、議決権者1人につき1票というわけではなく、債権額に応じて行使できる議決権数が変わるため、人数(頭数)と債権額(議決権額)の2つの要件が課されています

(6)  再生計画の実行・手続の終結

 裁判所によって再生計画認可の決定が確定すると、再生債務者は、再生計画に従って債権者へ弁済する義務を負います。事業を継続しながら、分割弁済をしていきます。
 また、四半期または半期ごとに事業や財産の管理状況についての報告書を作成し、監督委員や裁判所へ提出します。

(7) まとめ

以上の各ステージをまとめると、以下のようになります。

3 民事再生に必要な費用はいくら? ~手続に必要なお金の話~

民事再生を行うためには、概ね次の4つの費用が必要になります。

  1. 裁判所へ納める「予納金等」
  2. 裁判所とのやりとりや法的な書類の作成をサポートする弁護士への「弁護士費用」
  3. 会計に関する書類の作成をサポートする税理士への「税理士費用」
  4. その他個別の事案ごとに必要となる「その他の費用」

 ①の裁判所へ納める予納金は、各地の裁判所ごとに算定方法や金額が決められています。多くの場合、負債総額を基準に、個別の事情を考慮して算定されます。このほか、申立手数料や郵便切手などの若干の費用も掛かります。
 ②・③の弁護士費用・税理士費用については、「弁護士費用・税理士費用について(仮・リンクを貼る)」のページをご覧ください。
 ④のその他の費用について、会社の財産の中に不動産がある場合には、不動産鑑定士による鑑定費用がかかったり、スポンサーを探す場合の仲介手数料がかかったりすることがあります。それぞれの事案によって、必要な費用の種類や金額は変わります。

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